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小説 ただひと  EP28 共闘(3)

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

 EP28 共闘(3)

 

 建物の中は一見ステラで見たような研究施設に見えるが、妙にガラスめいた透明感があった。

「こんなに透けているなんてエリスのものではないわね。これはアンフェルの素材のように見えるけれど」

違和感を持っていたセレーネが呟いた。それにソロンが答える。

「そうだ。これはあの人の技で作りだした施設だ。エーテルと生命の土が原料になっている。その目的を果たすためだけに作り出した一時的なものにすぎない」

「あの人って誰?」

セレーネの質問にソロンは小さな声で「そらひとだ」と答えた。

「とにかくこの施設のどこかに人々が集められているはずだ。それを探そう」

彼は一人でどんどん進んでいく。ヘリオス達は彼の後を追う形で建物の中を進んだ。

途中、廊下のようなところを進んでいるとギシギシという奇妙な音が聞こえ、一同は立ち止まった。

「あれは?」

ヘリオス達は辺りを見回した。

「来る!」

ソロンは杖を構えた。と同時に見たことも無い機械が壁から出て来て一行の前に立ちはだかった。何体かの小さな球状の機械がその周りを浮遊している。機械は光を一同に照射すると突然アラーム音を鳴らし始めた。

「敵なの!?」

エリヤは弓を構えた。

「そうだ。これは部外者を排除する装置だ」

機械は赤いレーザーでソロンを焼こうとした。が、彼のバリアがそれを防いだ。その隙にエリヤが機械めがけて矢を放った。だが装甲が厚く、まるで貫けない。逆に機械の周りに浮遊していた小さな球体のようなものがエリヤの頭上に来て、青いレーザーを照射した。そのレーザーは最初バリヤで弾かれていたが、すぐに貫いて彼女を焼こうとした。

「危ない!」

ソロンが彼女をかばい、背中にレーザーがかすりジュッという音がしてソロンは苦痛に顔を歪めた。

「こいつ!」

アウダスが剣を振り上げ小さな球体を一刀両断した。壊れた球体はそのまま地面に落ちて来た。

「ここは狭い。大人数では動けない。俺に任せてくれ」

アウダスはもう一体の球体をすぐさま両断し、大きな機械一体だけにした。そしてすばやく立ち回り、機械がレーザーの照準をあわせられずにいる隙に何度も攻撃してケーブルを断ち切り、装甲を破壊した。そして中が剥き出しになりはじめ、機械は照準さえも合わせずがむしゃらにレーザーを照射して彼を攻撃しようとし始めた。そうなるとさすがのアウダスも近づくことができずレーザーを避るので精一杯になってきた。ソロンは傷の痛みに耐えながらも何かの呪文を唱え、機械の頭上を指した。その瞬間一本の槍状に圧縮された電気が現れ、機械を貫いた。その途端機械は動きをとめ、ばちばちと火花を散らし始めた。

「アウダス、危ない。すぐにバリアの中に入れ!」

ソロンが叫び、アウダスが避難したすぐあとに爆発が起こった。煙が立ち上り破片が散乱していたが、ソロンのバリアで誰も傷つかずに済んだ。

「これで一体目は退けた」

ソロンは安堵したように言ったが、背中の傷が痛むのか、歯を食いしばりうずくまった。レーザーは彼の服を縦に割いて、その隙間から焼けただれた傷口を露出させている。

「すごく痛そう。待って、僕が治すから」

マナが近寄り、彼の背中に手をあてた。マナの手が光り、傷口が見る間に閉じて癒されていく。そしてすぐにもとどおりに治ってしまった。

『おお、やはりクラウスだ。わし以外にもまだ生きておったのか』

どこからか、先ほどのゴーレムの声が聞こえてきた。

「クラウスって何?」

マナは首を傾げた。

「クラウスを知らない?君はどこで生まれたんだ?」

ソロンも不思議そうに尋ねた。

「僕はワイズに作ってもらったんだ。生まれたのはワイズの家だよ」

「まさか、私以外にも生命の土を研究している人がいたなんて。…そうか。良かった。君を作った博士に伝えてくれ。私の研究所がアンフェルの砂漠にあるのだが、そこにある資料がきっと役に立つと」

ソロンは杖を手に立ち上がった。

「さあ、まだ一体目だ。まだまだいる。気を抜いてはならない」

そう言うとまた急いで建物の中を進み始めた。

その後も何体かの機械が現れては戦うはめになった。その度にソロンとアウダスが共闘し、この兄弟の無双ぶりに他の者達は舌を巻いた。そしてソロンに守られたエリヤは彼に礼を言いたそうでもあったが、以前の襲撃の黒幕が彼だったこともあって、一体ソロンが何を考えているのかと訝しがって素直に言えずにいた。

長い廊下を走りながら、時々「めんこいのぉ」というさっきのゴーレムの声がどこからともなく聞こえてきた。ゴーレムはマナの事が可愛くて仕方ないようだった。マナの方もようやく会えた自分とそっくりな存在に無条件の親近感を抱いているようだった。

「ねえ、名前はなんていうの?」

「わしか?わしはロストだ。お前さんは?」

「僕はマナだよ。よろしくねロスト」

「ああ、マナ。いい名前だ。よろしくマナ」

ロストと名乗った巨大なゴーレムはすぐにでもソロンの魔法から飛び出して、マナと話し合いたそうにしているのが伝わってきた。マナも色々な事について聞きたがっていたが、ソロンが急いで進み続けるのでそれどころではなかった。

 

 

つづく

 ただひとEP28(4)

 

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