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小説 ただひと  EP28 共闘(2)

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

 EP28 共闘(2)

 

 轍の跡を追っていくと、最近出来たばかりの妙な研究施設にたどり着いた。轍はその建物の前まで続いていて、その周りにたくさんの足跡が残っていた。そしていくつかの靴や帽子などが落ちていて、人々がこの中に居ることをヘリオス達に予感させた。

「きっとこの中ね」

その建物に乗り込もうとした時、遠くから地響きと共にあの巨大なゴーレムが現れた。肩にはソロンが乗っている。二人は焦っているようで研究所まで駆けてきた。

「ソロン!」

アウダスは彼の姿をみて目を疑った。ゴーレムは研究施設の前でとまり、ソロンも彼の肩からおりた。

「まさかあんたが村の人々を…!」

ルミエールはサーベルの柄に手をかけた。全員身構える。しかしソロンはその気がないのか、緊迫した一同を横目に「それどころじゃない!」と言って相手にしなかった。巨大なゴーレムはマナに気付いたようで身をかがめて驚いた。

「なんと、わし以外にもまだクラウスが居たとは…」

「ロスト、それどころじゃない。村の人が危ない」

「おお、すまなかった」

「ここは狭い。ロストはしばらく次元のハザマに入っていてくれ」

ソロンが杖を振ると何もないところに亀裂が生じ、大きな洞穴のような空間が現れた。ゴーレムは言われた通りその中に入り、ソロンがもう一度杖を振ると何事もなかったように閉じた。

ソロンは敵意と不信の目で見る一同など一切気にしていないようで、真っ直ぐに入り口に向かった。扉は固く閉ざされていたが、ソロンが何かの呪文を唱えると、まるで歓迎するかのように開いた。彼はその中へと入っていく。

「ソロン!」

アウダスが呼び止めた。ソロンはその声で振り向き、彼の方へ近寄った。

「アウダス、頼みがある。今だけでいい。力を貸してくれないか」

その頼みにアウダスは感動したように頷いた。

「ああ、勿論だ!」

「ちょっと待て、一体何に協力するっていうんだ?村の人達はどうなってるんだ?」

ルミエールが慌てて待ったをかけた。

「来れば分かる。村の人々はおそらくこの中にいる。私も彼らを救出しに来た。だが、私一人では難しいかもしれない。力を貸してくれ」

ソロンはそれだけ言うと、急いで建物の中に入っていった。アウダスやヘリオス達も続く。ルミエールは訳がわからないといった顔で、不審げにソロンの後ろをついて行った。

 

 

 つづく

ただひとEP28(3)

 

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