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小説 ただひと EP28 共闘

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

EP28 共闘

 

 学都ステラに滞在していた一行は不吉な噂を耳した。最近アイネ村から人が突然居なくなったというのだ。しかも後には魔物の足跡が無数に残っていて、もしかすると魔物に襲われてしまったのではないかと言うのだ。そのため、近くの村々は厳重に警戒しているという。

「魔物だなんて、どう思う?」

それを聞いたルミエールが皆に尋ねた。

「もしかしたら私たちと同じように襲われたのかもしれない!行ってみよう」

エリヤは全身の毛を逆だたせてあの時の事を思い出しているようだった。

「魔物から人々を守るのも俺達の大事な役目だ。行かないはずがない」

アウダスもそれに頷いた。ヘリオス達は事の真偽を確かめるべく難民となった村人から話を聞いて村に行ってみることにした。

アイネ村にたどり着くとすでに人っ子一人いなくなって、不気味に建物だけが残り、各所が荒らされていた。

「誰も居ないのか?」

ヘリオスが声を張り上げて村の中を歩いていると、物陰から一体の魔物が現れた。虫のような姿で六本の足がある。黒い体毛に覆われていてその奥の 赤い目が光っていた。魔物はヘリオス達を見るなり襲いかかってきた。ヘリオスはすぐさま剣を抜いて魔物を斬りつけようとしたが赤い目がその動きをとらえてひらりとかわし屋根によじ登った。

「こいつ、何かするつもりみたいだ」

魔物は前足と口をもぞもぞし始め、ピタと止まると、今度は勢いよく白い網状の物を吐き出した。

「あ、危ない」

マナが叫んだ。ヘリオスはうまく避けたが、魔物はまだ狙っているようで、前足をもぞもぞと動かしている。エリヤは矢をつがえ、狙いを定めた。

「こいつが村の人を襲ったんだね」

エリヤは殺気をみなぎらせ、魔物めがけて矢を放った。矢は命中したが、魔物はまだ動き続けている。魔物は今度はエリヤの方に飛び掛かりながら網を放った。ルミエールのサーベルがその網を斬り落としたが、今度はその網が剣にまとわりついて落ちなくなった。

「うわ!この網相当粘着質だ」

ルミエールは使えなくなった武器を手にすぐさま後方へと下がる。

「エリヤ、矢で狙い続けてくれ。俺たちが怯んだ隙に攻撃する」

アウダスは、怒りを露わにして魔物に近付きすぎていたエリヤの前に立ち、後方に下がるよう促した。エリヤはやっと冷静になったのかこくりと頷いた。

「エリヤ、あなたの矢に私の魔法を乗せることができないかしら」

セレーネがエリヤにたずねた。

「え?そんなことって。でもそれって凄そう。やってみよう」

「ええ」

セレーネは詠唱を始め、杖の先に炎が集まる。それをエリヤの持つ矢の先にうつした。矢の先が勢いよく燃えはじめる。エリヤはそれを限界までひき、一気に離した。炎を纏った矢が魔物に命中する。炎はいっぺんに魔物を包み、魔物がジタバタと悶え始めた。

「いまだ!」

ヘリオスとアウダスがその隙に魔物を両側面か斬りつけ、ついには魔物も動かなくなった。炭と化した物体が後に残った。

「俺の出番なかったな」

ルミエールはようやくサーベルにへばりついた網を近くの石で削ぎ落としたようで苦笑した。

「いや、まだ出てくるかもしれない」

ヘリオス達は注意深く村を探索して回った。そして先の言葉通り、何体かの魔物が現れ、その度に交戦した。以前ソロンが魔法陣を作っていた村で遭遇した魔物達は、皆威嚇をして遠ざけようとしていたが、ここにいる魔物は皆好戦的で、人間と見るとすぐに襲いかかってきた。そのため、エリヤが悪い予想をし始めた。

「ここにいた人達どうなったの?食べられたの?」

「それはまだ分からない。でもなぜこの村に突然魔物が現れたのか、それが分からない」

村の隅々まで探していると、村はずれに轍の跡があった。

「これ、何かを運んだあとよね。かなり深く窪んでいるわ。きっとよほど重い物を乗せたのよ」

轍はいくつか重なっていて、何台かの荷車が重い物を乗せて走った事を暗に示していた。轍の跡は村から出て、街道沿いに続いていく。その向こう側に目を凝らした。

「誘拐された可能性があるな。この轍の跡を辿ればわかるかもしれない」

アウダスは地面に残された跡を検分するのをやめて言った。

「もし誘拐されたのなら早く行かないといけないわね」

セレーネの言葉にエリヤも青ざめた。

「助けないと!助けないといけない」

「行ってみよう!」

ヘリオスが言い、皆それにうなずいた。

 

 

 

つづく

 ただひとEP28(2)

 

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