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小説 ただひと EP14 反政府勢力   

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

EP14 反政府勢力

  

ルミエールたちはようやく王城から逃げ出すと支援者を頼りに新しいアジトへと向かった。そこは町外れにあるぼろぼろの廃屋で、逃げ切った人々や賛同者らが少数集まっていた。

建物に入るとルミエールの姿を見て何人もの人々が安堵した様子で駆け寄ってきた。

「アニキ、すまねえ…。姉さんが…」

そう言って涙を拭く者。すすり泣く声があちらこちらから聞こえてくる。ルミエールは哀しみをこらえるように

「お前たちが無事で良かった…」

と言って肩を叩いた。先のジェイスの虐殺を生き抜いた人々だった。

 ルミエールは奥にいる学者風の数人に歩み寄った。

「先生方、国は本気で俺達を潰しに来てる。どうすればいい…。俺達は、復讐なんてケチなことは望んでいない。けれど犠牲が…。先生、俺達は未来の自由のためなら、いくらでも戦う覚悟はある。教えてくれ、どうすればいい?」

三人の学者は沈痛な面持ちで聞いていた。そして一人が答えた。

「力の達人は聞き及ぶ所によると、今回の作戦に本意ではないという。彼をこちら側に引き入れることは出来ないだろうか」

「力の達人を?」

ルミエールは無理じゃないかという顔で聞き返した。

「でも確かに将軍は俺達が逃げるとき追ってこなかった。やろうと思えば殺すことも、拘束することも出来たのに…」

ディオンは一理あるという風に頷いた。ヘリオスもその考えに賛同した。

「力の達人を説得しよう!ルミエール、俺達にいかせてくれ」

「大丈夫か?お前たちは既に反逆者の仲間入りをしているんだぞ?」

「でも、やるしかない」

ヘリオスはまっすぐな目で彼に訴えた。ルミエールもその熱意に納得し、頷いた。

「では、私も共に行かせて下さい。彼らだけに重荷を背負わせるわけにはいかない。私も昔は代議士だった。人を説得するのは得意だ。力の達人なら、私達の言葉に聞く耳を持っているだろう」

学者風の人物の一人が名乗りをあげた。年はもう明らかに六十をすぎているが背筋の伸びた凛とした雰囲気を持つ男性だった。

「本当にいいんですかい?」

「座して死を待つよりも、だよ」

彼は静かな覚悟をその目に宿していた。

 ルミエールはヘリオスの肩をがっしりと掴んだ。

「頼んだぞ」

「まかせてくれ!」

ヘリオスは力強く答えた。

 

 

つづく

 ただひとEP15

 

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