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小説 ただひと EP12 脱出

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

EP12 脱出

 

アウダスは怒りもあらわに副将軍の胸ぐらを掴んで壁に叩きつけた。

「何故勝手に兵を動かして、許可もだしていない作戦を実行した」

「フフフ、そんなに怒らないでくださいよ。将軍のお手間を減らそうと思って気を遣っただけじゃないですか」

「俺がいつそんな指示を出した」

「今じゃなくても、いつかはやらねばならなかったのではないですか?あの男を捕縛した時点で、その根拠地も叩いておくのは軍人として当然の策だったと思いますが…。まあ、陛下にお伺いすれば、どちらが上策か分かるというものでしょう。さあ将軍、二人でお伺いを立てに行きましょうか」

「くっ!!」

アウダスは憎々しげに彼から手を離した。

「これ以上勝手な真似をすると、それ相応の処分をしなければならない。以後慎め!」

「はいはい」

ジェイスは全く反省などしていないという風にブツブツいいながら彼の部屋を出て行った。

 そばで見ていた副官ディートリヒはいつになく感情的な彼を心配した。

「将軍…」

アウダスは彼女の目に映る自分に気づき情けなくなって目をそらした。力を持つものは持たざる者よりもさらに抑制的に使わなければならない。そうでなければ力は単なる暴力になってしまうからだ。それが彼の信条だった。だからこそ彼は自らを戒めコントロールすることができるのに、先ほどの彼は怒りのあまり我を忘れていた。あともう少し怒りにのまれていればジェイスの首を絞めていたかもしれない。

「将軍、今後はジェイス副将軍が無断で動かないようにこちらからも目を光らせましょう」

「ああ、そうしよう。ところでディートリヒ。ジェイスが殺した民間人の数というのはわかるか」

「はい、確認した遺体だけでも二十は超えています。負傷者は確認できませんでした。おそらく、すべて彼の手にかかって死んだのでしょう」

「そうか…」

アウダスは手で顔を覆った。部下がしでかした残虐な作戦に彼は本当に心を痛めていた。たとえジェイスの言う通り反政府勢力に与する人々であったとしても裁判にかけることもなくその場で虐殺することなど許されない。彼は亡くなった人々を思い祈ろうとした。

その時、慌ただしく部下が部屋に駆け込んできた。

「大変です!頭領達が脱獄しました!」

「何だと!」

 

 

 つづく

ただひとEP12(2)

 

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