小説イラストレーター蒼生のなんでもやってみるブログ

小説家兼イラストレーターの蒼生が気ままに書いているブログ。Twitter https://twitter.com/sousei0303 mail: sousei_novel@yahoo.co.jp

小説ただひと EP9 王都(2)

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

 EP9 王都(2)


深夜、ヘリオス達が部屋で休んでいると激しく扉が叩かれた。

「起きろ!レジスタンスが場内に侵入した!」

夜警の声で三人は飛び起きた。

「なんだよこんな夜中に。来るなら昼間に来いよな」

ディオンは眠そうに目をこすっている。

「ディオン、文句なら後で言おう。セレーネ、マナ。用意はいいか?」

「うん、大丈夫」

各々装備を整えると部屋を出た。

聞くと城の地下にある牢屋に複数のレジスタンスが忍び込んだらしい。ヘリオスらはレジスタンスを全員捕まえるよう指示を受け、地下へと通じる階段へと急ぐ。だがそこへ向かう途中、階段の前でレジスタンスと思しき男が両手に剣を持って待ち構えていた。

「あ、あれ! 」

「ここから先へは行かせない。兄貴たちや先生方の命は俺にかかってるんだ」

男は剣を手にいきなり襲い掛かってきた。ディオンがよけると今度はヘリオスに向かっていった。ヘリオスが剣で彼の右手の攻撃を防ぐと、今度は左から攻撃を仕掛けてきた。さすがのヘリオスも両手剣使いを相手にできるほど剣の扱いがうまいわけではなかった。刺されると思った時、「あぶない!」というマナの声とともにその剣が止められた。マナが自分の手でヘリオスの横腹に突き刺さるところだった剣を防いだのだ。

「なんだこいつ」

敵があっけにとられている隙に、ディオンの風の魔弾が直撃して彼は廊下の隅に弾き飛ばされた。

「だいじょうぶ?マナ!」

セレーネは慌ててマナの手に治癒の魔法を使おうとする。刺さった剣の所からさらさらとマナの土が流れ落ちている。

「大丈夫だよセレーネ。僕このくらいの傷はなれっこだから」

そういうとマナは傷口に手を当ててぎゅっとにぎった。手の隙間から光がもれて、外された時には治っていた。

「マナ、あなたすごいわね」

「えへへ。ワイズのおかげだよ」

ヘリオスもマナに礼を言った。

「おい、急ぐぞ。さっきの両手剣使いが気絶している間に階下に降りちまおうぜ」

ディオンにせかされて三人は急いだ。牢屋につくまでにも何人かのレジスタンスが現れた。彼らは口々に王や力の達人を罵り、彼らが人々の自由を抑圧していると言った。ヘリオスはその主張を聞きながら、彼らが身を挺しても守ろうとしているものが何なのか気になった。犯罪者なら、自分の命が一番惜しいはずだ。なのに彼らは自らを犠牲にしてまで何かを守ろうとしている。だから彼は今自分が一体何をしているのかとかすかな疑問を抱いていた。

 

 地下牢では複数のレジスタンスが、牢から政治犯を逃がそうとしているところだった。

「先生方、大丈夫ですかい?お怪我は」

サーベルを下げた三十代くらいの筋骨たくましい男性が牢屋の中にいる老人を気遣った。

「ああ、ありがとう!一人殴られて歩けないのが居るが、他は皆大丈夫だ」

複数の政治犯が彼の顔を見て息を吹き返したような、救われたような顔になった。

「ちっ、ひでえことしやがる!」

「エール、上がざわついてきたよ!早いところ逃げるよ」

バンダナをまいた茶色い髪の女性が鞘から剣を抜いて上へとつながる階段の方をにらみつけて警戒した。

「さあ。あの抜け道を通れば出られます。早く逃げて下さい!」

サーベルを下げた男性は政治犯らを牢からだし、仲間に合図した。隅に隠し通路のような穴が開いていて、その奥に仲間の顔が見える。

「やばい、降りてきたよ!」

バンダナをまいた女性が剣を構える。

アリシアは先生方を護衛して逃げろ!ここは俺達で食い止める!捕まるんじゃないぞ!」

「ああ、わかってるよ!エール。あんたも死ぬんじゃないよ」

アリシアと呼ばれた女性は政治犯らを隠し通路に逃がし、最後に自分も穴から逃げた。

 一足遅く、ヘリオスやアウダスがかけつけた。

 アウダスはサーベルを下げた男性をにらみつける。

「反政府勢力のリーダーが来ていたとはな」

「はん!権力の番犬が自らおいでになるとはな」

「なに?どういう意味だ」

「そのまんまだよ!」

「ふん、強がるのもほどほどにするんだな。俺と出会って逃げられると思うなよ。すぐに拘束してやる」

「そうはいくか!」

男性は何人かの仲間とともに足止めのために煙幕を張りはじめた。

「く、視界が…」

煙幕の中では目をあけることができない。ヘリオス達はどうすることもできずにいたが、レジスタンスたちはゴーグルをかけて攻撃をしかけてくる。彼らの攻撃に翻弄されながらも、アウダスは目を閉じて気配のままに剣をふるいはじめた。

「うわ、なんだこいつ。目を閉じて攻撃してくるぞ!」

レジスタンスたちの驚いた声が煙幕の中から聞こえてくる。

そしてアウダスは一人、また一人と撃破していった。

「どうも一人逃したようだ」

煙がはれてくると、アウダスの足元に何人ものレジスタンスが伸びていた。

「さすが力の達人だ…。気配だけで相手を倒すことができるなんて」

ヘリオス達はその神業的な所業に感嘆した。

 

 レジスタンスの頭領とその部下達は拘束され、そのまま牢の中へと叩き込まれた。まもなくして目を覚ました彼らは力の達人を見て悪態をついて騒いだ。

 そこへ一足遅くディートリヒが駆け付けた。

「将軍、どうしますか?」

「どうもこうも、逃げないように厳重に見張っていろ」

「は!」

ヘリオス達はレジスタンスの仲間が救出に来る可能性があるため牢屋の前で見張ることになった。

 

 

つづく

 ただひとEP10

YOUTUBE朗読版 

www.youtube.com


ツイッター  

twitter.com