小説イラストレーター蒼生のなんでもやってみるブログ

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小説ただひと EP9 王都

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

EP9 王都

 

王都はすべてが桁違いだった。建物の豪華さ、人々の着ているもの、また動く乗り物や道路まであり、国中の技術と富がここに集積していた。そしてヘリオス達が住んでいた僻地の村では見たことも聞いたこともないものばかりで、二人はまた見るからにおのぼりさんという風に辺りをキョロキョロと見わたし始めた。

「すごいな、こんな場所があったなんて。俺たちがどれだけ田舎者だったかわかるな」

ヘリオスの言葉にディオンも同意する。

「まったくだ。ドートニクで人生が終わっていたかもしれないと思うとゾッとするよ」

その時、道の向こうに厚い人垣が見えた。

「ほら、早く歩け!」

人垣の向こうから兵士の声が聞こえてくる。ヘリオス達は何だろうと見に行った。それは手錠でつながれた人々が兵士にどやされながら列を作って歩いている所だった。

「なんだあれ」

ディオンは不思議そうにそれを見た。

「あんた、知らないのかい?政治犯だよ。これから収監されるところさ」

街の人と思しき男性が彼に教えた。

政治犯?それってどんな罪なんだい?」

「私たちもはっきりとは言えないよ。あまりにもその時その時で適用のされ方が違うから。とにかく捕まりたくなければ大人しくして、国王や政治のことを批判しないことだよ。ちょっとでも何か言おうものならあの通りさ」

ヘリオスとディオンは初めて見た政治犯の列を不思議そうに見送った。

「王都には田舎と違って犯罪者も珍しいのがいるんだな」

ディオンが冗談めかして言った。

「でもかわいそうだったな」

「確かに物を壊したり盗んだりしたわけでもないのに捕まるなんて厳しすぎるよな。ま、俺たちは兵士だから、ああいう目には合わないだろう。どちらかと言うと取り締まる側か…」

「それも嫌だな…」

ヘリオスはさっきの光景を思い出しながら言った。

そして彼らは街の人に訪ねながら国軍の宿舎がある場所へと向かった。

 丘の上に巨大な王城がそびえ立っている。国軍の宿舎はその下にあり、位置的にも文字通り王の盾だった。

 ヘリオスは宿舎にたどりつくとアウダスの部屋へ向かった。そして彼の部屋に入ると挨拶した。アウダスはヘリオス達が戻ってきたことに喜び、それと同時にマナを見て驚いた。

「なんだこのゴーレムは」

「この子はマナって言うんです。生命の土から作られた小さなゴーレムで、とても大人しくて優しい子なんです」

セレーネが彼に説明した。

「いや、見たところソロンと一緒にいたゴーレムにそっくりなんだが、そうではないんだな?」

ヘリオスも答える。

「ええ、マナはあの巨大なゴーレムとは全く関係がありません。ワイズという方が研究の末に生み出した独自の生命だそうです。体力を回復させる能力があるようで、エネルギーを消耗しやすいセレーネのために一緒に来てくれているんです」

そしてマナも大きな体を二つに折ってアウダスに礼をした。

「マナです。よろしくおねがいします」

アウダスもそれで一応納得したようで「わかった」と言ってそれ以上は追及しなかった。

「あの後、ディートリヒとも話しあったが、ソロンの行方が全く分からなくなっている。今は下手に動くよりも、ソロンの動きがあるまで目下王都の治安維持にあたることにしている。最近反政府勢力の動きが活発化していてな。ヘリオス達にはそれの取り締まりを頼みたい」

「はい、分かりました!ところで反政府勢力というのはどういった事をしているんですか?」

「どういった?」

アウダスは初めてそんなことを聞かれたのか眉をひそめて彼を見た。

「…政府の決めた事に一々歯向かう連中だ。色々な事を吹聴しては仲間を増やして秩序を壊そうと常に企んでいる。そういった秩序を破壊する動きに対しては前もって取り締まるのも我々の任務だ」

「は!わかりました」

ヘリオス達には城下の治安維持の任務が与えられ、その日は国軍宿舎を案内された。ヘリオス達には宿舎の一室があてがわれ、その日の疲れを癒し、明日からの任務に備えるよう言われた。

 

 

つづく

 

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