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小説ただひと EP8 小さなゴーレム(2)

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 EP8 小さなゴーレム(2)

 

夜の森に消えたゴーレムを追いかけるうちに、セレーネは以前と同じくらいに自分の体力が戻っていることに気づいた。そしてマナの気配が近づくとその体力がまたさらに増すような気がした。

「やっと見つけた」

森の奥でようやくマナを見つけたセレーネは胸を撫でおろした。

「あ、ごめんなさい…。僕ワイズから離れたくなくて…」

「いいのよ。マナは本当におじいさんが好きなのね」

「うん、僕を作ってくれたのはワイズだから。…僕は生まれた時からワイズのそばに居て、離れたことなんてないし、ずっとずっと一緒で、これからも一緒がいいんだ。でも僕はきっとワイズよりも長生きだから、もしワイズが居なくなったら、その時は一緒に眠ろうって思ってたんだ。そのくらい、僕はワイズが好きなんだ。ゴメンね。セレーネが嫌いなわけじゃないんだけど、でもそれ以上にワイズから離れたくないんだ…」

「うん、私も大切な人達がいるからすごく分かるよ。離れるとき凄く怖かった。もう会えないと思ったの」

「え、でも…」

「本当は一緒に居たかったけど、でもそのまま一緒に居たら、その大切な人も、その大切な人が愛するものも全部無くなってしまうから。全部消えて無くなってしまうから…それは嫌だと思ったの。だから私は、ここに来たの」

ヒロインはにっこりと笑った。

「セレーネ…ぼく…」

突然茂みが揺れてうめき声がした。そして大きな野犬のような魔物が現れた。セレーネはとっさに杖を構える。魔物は二人を威嚇するように吠え、かみつこうとして走ってきた。彼女はすぐさま詠唱し、風の魔法が魔物に直撃する。しかしまだ完全に回復していないのか、セレーネはその技を使っただけでふらついてしまった。

「セレーネ!しっかりして!」

「ありがとう…」

マナに支えられてようやく立ち上がったセレーネは力を取り戻しもう一度魔法を使おうと詠唱を始めた。そこにヘリオスとディオンが駆けつけた。

「二人とも、大丈夫か?」

「やれやれ、夜中に森を散歩するなんて命知らずだな。まあいいや、ちゃちゃっとこの俺が片付けてやるさ」

ヘリオスは剣をかまえ、魔物にきりかかった。しかしうまくかわされ今度は鋭い牙でかみつかれそうになった。危ういところで剣で防ぎ薙ぎ払うと、今度はディオンが「お前らちょっと離れてろ」と言った。

ディオンは魔弾の強さを確かめたくてうずうずしていた。そして魔物に照準をあわせると引き金を引いた。雷撃とともにキャンという声がして魔物はびくともしなくなった。

「いやーすごいね。一撃だったよ」

ディオンは片手で銃をもてあそびながら自らの強さに惚れ惚れとした様子で言った。

「とにかく無事で良かった」

ヘリオスはセレーネとマナに駆け寄る。

「たく、夜中に出歩くなよな」

「みんなゴメンね…」

マナは反省しているのか肩を落とした。

「もういいのよ、マナ。帰りましょう」

セレーネがマナの腕に触れて優しく言った。

「そうだな。ワイズさんも心配している。マナ、一緒に家に戻ろう」

「うん」

 翌朝、三人は身支度を整えて老人に改めて礼を言った。マナは老人に近づくと覚悟を決めて言った。

「ワイズ、僕、セレーネと一緒に行く」

「うんうん、それがいい」

小さなゴーレムは老人にひしと抱きついた。

「ワイズ、僕寂しいよ!でも、ずっとワイズと一緒にいたいから、僕いってくる!でも早く戻ってくるね!だからワイズも体に気をつけて、僕が帰るまでちゃんと待っててね」

「ああ、待ってるとも。ずっとずっと待ってるからの!」

二人はしばらく離れがたそうに抱き合っていたがついにマナが名残惜しそうにワイズから離れた。そしてセレーネに近寄ると彼女を肩に乗せた。

「これでセレーネの体力も消耗しなくて良くなるでしょう?」

「ありがとう、マナ」

「うん、どういたしまして」

マナと呼ばれる小さなゴーレムが仲間になった。

 

つづく

ただひとEP9

 

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