小説イラストレーター蒼生のなんでもやってみるブログ

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小説ただひと EP2 狩りへ

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

EP2 狩りへ

のどかな田園風景が見渡す限り続いている。青々と茂る草木に、鳥のさえずり。見渡せど見渡せど空と平地と山しかない。そんな自然豊かな風景の中に小さな村がある。名前をドートニク村という。村人は多くない。皆農耕牧畜や狩猟を生業にして自然の恵みの中でつつましく生活している。
そんな村の中を見渡すと二人の若者が見えた。
「おい!ヘリオス!」
猟銃を持った少年が、農作業をしている少年に声をかけた。
「この辺でも兵士を募りはじめたらしいぞ」
「へえ。俺達には関係ないな」
少年は返答もそこそこに鍬を動かし続ける。彼は名前をヘリオスという。日に焼けた肌とこげ茶の巻き毛が印象的だった。そして先程から話しかけている少年が友人のディオンだった。ディオンは猟銃を肩に乗せて身を屈め、口を尖らせた。
「何だよ。もっといい反応しろよ」
不満そうにいう友人には目もくれずヘリオスは畑を耕しつづける。
「俺はここでのんびり暮らしたいんだ」
「なんだよ、つまんないやつだな。こんな平々凡々な暮らしのどこがいいんだか。俺達には未来がある。力がある。そして何より若い。こんな僻地でくすぶって人生をおくるなんてまっぴらだ。なあヘリオス、可能性って知りたくないか?俺達だったら、もしかしたら力の達人に認められるかもしれないぞ」
ヘリオスは鍬を止めた。
「力の達人…」
「そうだ!ヘリオス、天下無双の呼び声高いあの人に会ってみたいと思わないか?あの人だって若くして頂点にのぼりつめた。実力さえあれば認められるんだ。でも、ここでは一生そんなことはない」
ヘリオスは一瞬ためらったが、すぐに鍬を動かし始めた。
「でも、俺はこの生活で十分だ」
「頑なだな」
ディオンは不満そうに呟いた。そして何か思いついたのか手をたたいた。
「そうだヘリオス、一緒に狩りに行こう。いい場所を見つけたんだ。いいだろ?たまにはつきあえよ」
「ディオン、俺は日が照っているうちにこの仕事を終わらせないといけないんだ」
「そういうなって。そんなに遠い場所じゃない。ちょっと散歩がてらに付き合えよ」
ディオンはあまり乗り気ではないヘリオスの腕を掴むと無理やり連れて行った。

 

つづく

ただひとEP3

 

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