小説イラストレーター蒼生のなんでもやってみるブログ

小説家兼イラストレーターの蒼生が気ままに書いているブログ。Twitter https://twitter.com/sousei0303 mail: sousei_novel@yahoo.co.jp

小説 ただひと EP1 始まり

ネット公開版   小説 ただひと   作 蒼生

 

 

 

 ぼくらは みんな ただひと で
 だからこそ どりょく する

 

 

 

EP1 始まり
 
夜闇に小さな光がいくつも浮かぶ。その光は辺りを漂い、草木の輪郭をおぼろげに照らし出す。全てがガラスのように透き通っている。そして触れれば消えてしまいそうなほど美しく、また儚げだった。光は漂いながら、どこか奥へと進み、輝く泉の中へと消えていった。幻想的な森の中に光り輝く小さな泉が一つある。その前に二人の少女と一人の青年が立っていた。彼らは皆白い肌、薄い髪色、さらに白い服と、まるで月明かりが形を成したかのようだった。その中の髪の短い少女が泣き出しそうな顔で口を開いた。
「もう行かなければならないの?」
長い髪の少女はそれにゆっくりと頷く。
「ええ」
そして心配しないでとでも言うかのように優しく微笑んだ。そばでじっと黙って耐えていた青年はいたたまれなくなって髪の長い少女に声をかけた。
「どうしても行かなければならないのか…?」
「そうよ…」
青年は辛そうな顔をして目を伏せ歯噛みしたが、またまっすぐに少女を見て、今度は何か言いたげに口を開いた。それに対し少女は首を振って何も言わせなかった。
「止めないで。ここで私がためらったら全てが終わってしまう。無事でとか早く戻ってきてとか、そういうことも言わないで。もう覚悟はできているから…。私が迷わないように、笑顔で見送ってくれる…?」
青年と少女は目を潤ませて彼女の言葉に頷いた。そして精一杯の笑顔をつくりだした。髪の長い少女は嬉しそうに目を細めて彼らの顔をじっと見つめた。
「ありがとう。…じゃあ、行ってくる」
そう言って、少女は光る泉の中へ足を一歩踏み出した。水の底は輝いていて、どこか遠くへとつながっている。彼女は深く息を吸うと全ての迷いを断ち切って、その奥へと身を委ねた。
「私、みんなのこと大好きだから…!」

 

つづく 

ただひとEP2

 

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